杜松の実
Juniper
これがなければジンと名乗れません。蒸溜所の裏手の杜松林で、二年かけて熟した青黒い実だけを摘みます。
EST. 2016 — SHINANO KIRYU
はくろ じょうりゅうしょ
朝露を、蒸溜する。
信濃の山あいで、夜が明けきる前に摘んだ草木だけを銅の釜へ入れます。一度の仕込みで採れるのは百八十本。急がず、削らず、その年の山の匂いをそのまま瓶へ移します。
夜明けからの三時間だけ、山に入ります。
露が乾く前の草木はよく香ります。杜松のほかに使うのは、蒸溜所から歩いて行ける範囲で採れたものだけ。採る斜面は毎年少しずつずらし、同じ場所を続けて刈らないようにしています。
銅の釜で、七時間。
はじめの一割と終わりの二割は落とします。真ん中だけを取るので、一度の仕込みから瓶になるのは百八十本ぶん。歩留まりは褒められたものではありませんが、雑味をあとから削る方法を私たちは知りません。
樽には入れません。静けさに置きます。
蒸溜したての液は角が立っています。地下の石蔵に三か月ただ置くと、香りどうしが馴染んで角が丸くなる。何も足さずに待つだけの工程ですが、ここを飛ばすと味が痩せます。
一本ずつ、手で。
瓶詰めも栓打ちもすべて人の手です。ラベルの通し番号は、その年の何本目かを表しています。手元の一本がいつの山のものか、番号から辿れるようにしてあります。
Botanical
増やせばそれらしい味にはなります。けれど数を足すほど、どれが何の匂いか分からなくなる。試作を四十回ほど繰り返して、残ったのがこの六種でした。産地はすべて蒸溜所から歩ける範囲です。
Juniper
これがなければジンと名乗れません。蒸溜所の裏手の杜松林で、二年かけて熟した青黒い実だけを摘みます。
Yuzu Peel
表皮だけを薄く削ぎ、白い綿は残しません。ここを面倒がると、後口に苦味だけが居座ります。
Sansho
粒のまま釜へ入れます。挽くと辛味が立ちすぎて、他の草の匂いを全部押しのけてしまう。
Hinoki
隣の山の間伐に合わせて、枝先だけ分けてもらっています。木の匂いというより、雨上がりの林の匂いです。
Kuromoji
楊枝に使われる木です。噛むと甘い匂いがする。砂糖を一切足さないこのジンで、甘さを担当しているのはこの枝です。
Kumazasa
最後にひと掴みだけ。青い草の匂いが一枚重なると、全体が山の景色に見えてきます。
Bottles
味を変えるためではなく、飲む季節に合わせて度数と檜の比率だけを変えています。中身の考え方はどれも同じです。
No.01
Standard
通年の一本。六種の草だけで組みます。
はじめの一杯はこれをトニックで割ってください。香りの輪郭がいちばん素直に出ます。
¥4,950税込
No.02
Hinoki
檜の比率を三倍にした、冬だけの一本。
度数を上げて木の匂いを支えています。氷ひとつで、ゆっくり温度が上がるのを待つ飲み方が合います。
¥6,050税込
No.03
Kiri
蒸溜所でしか出していない小瓶。
その週に採れた草をそのまま入れるので、仕込みごとに中身が違います。番号だけが頼りの一本です。
¥2,750税込
※ 架空の蒸溜所によるデモンストレーションです。銘柄・価格・在庫はすべて架空で、販売は行っていません。
Cocktail
道具は要りません。氷とグラスと、あと少しの手加減だけ。蒸溜所の台所で実際につくっている分量を、そのまま書いています。
Hakuro & Tonic
氷を詰めたグラスにジンを注ぎ、トニックは氷に当てず縁から静かに落とします。混ぜるのは一度だけ。
Gimlet
氷を入れたミキシンググラスで十五回。冷えすぎると山椒の余韻が消えるので、手早く止めます。
Negroni
大きめの氷ひとつで、グラスの中で組みます。檜の匂いが苦味の後ろから遅れて立ちます。
Hinoki Martini
グラスを先に冷やしておきます。葉は沈めず、縁に立てかけて香りだけを渡します。
Yuzu Highball
柚子は搾ってから皮を落とします。笹は最後にグラスへ差し、飲むたびに鼻先で青い匂いが立つように。
The Distillery
霧生の分校が閉じたのは十年前です。使われなくなった給食室に単式蒸溜器を据え、許可が下りるまでの一年は、ただ山を歩いて草の場所を覚えていました。いまも作業しているのは三人です。
※ 架空の蒸溜所によるデモンストレーションのため、数値はすべて架空です。
同じ斜面を続けて刈らないよう、採取地は毎年ずらしています。
仕込み日は蒸溜室を開けられません。見学日は火曜と金曜のみです。
2016
霧生の廃校になった分校を借り、給食室に小さな単式蒸溜器を据えたのが始まりです。最初の一年は許可待ちで、山を歩いてばかりいました。
2019
校舎裏の古い石蔵を片付け、休ませる場所にしました。夏でも十四度から動かない部屋です。
2022
一基では冬の仕込みが回らなくなり、同じ形の釜をもう一基。首の角度まで写して作ってもらいました。
2025
作業日以外の午後だけ、蒸溜室を開けています。草の匂いは瓶では伝わらないと分かったからです。
Visit
草の匂いは瓶では伝わらない、と分かったので開けることにしました。一日一組・四十分ほどです。売り込みはしませんので、手ぶらでお帰りいただいて構いません。
STEP 01
見学は火曜と金曜の十四時からの一枠のみです。仕込みが立て込む週は開けられないため、二週間前までにお願いしています。
STEP 02
四十分ほど。釜のふたを開けて、仕込み中のもろみの匂いを嗅いでいただきます。写真撮影はご自由に。
STEP 03
最後に、その週に詰めたばかりの「白露 霧」を少量おためしいただけます。運転される方には水出しの茶をご用意します。
蒸溜所名・地名・住所・連絡先はすべて架空です。実在の施設とは関係ありません。
お車でお越しの方には、試飲の代わりに水出しの茶をご用意します。