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EDITORIAL

編集部から

本づくりの現場から、季節ごとにお便りをお届けしています。装丁のこと、原稿を待つ時間のこと、そして読者のみなさまへ。

LETTER 01ON MAKING BOOKS

急がない、という技術

編集長 真砂 あきら2025年秋

本づくりで私たちがいちばん時間をかけているのは、実は「待つ」ことかもしれません。原稿を寝かせ、著者の逡巡を待ち、季節がひとめぐりするのを待つ。刊行を一年遅らせた本が、遅らせたぶんだけ良くなった経験を、私たちは何度もしてきました。

話題になる本と、長く読まれる本は、しばしば別のものです。前者は速さを、後者は確かさを必要とします。灯台出版は、どちらかといえば後者の側に立ちたい。刷り部数は控えめでも、十年後に版を重ねている——そんな本を目指しています。

急がないことは、怠けることではありません。むしろ、締切のなかで最後まで諦めないための、いちばん難しい技術だと思うのです。

灯台出版 編集部一同

LETTER 02ON THE BINDING

背表紙は、二度目の表紙

装丁担当 結城 みお2025年冬

書店で最初に本と出会うのは表紙ですが、家の棚で毎日出会うのは背表紙です。買われたあと、本は棚に立てられ、背だけを見せて暮らしはじめる。私たちは背表紙を「二度目の表紙」と呼んで、題字の位置や太さを何度も確かめます。

紙は、指がいちばん長くふれる場所です。つるつるした紙は写真映えしますが、毎日めくると疲れることがある。灯台出版の本文用紙が、少しざらついたクリーム色に寄っているのは、光の反射を抑え、長時間読んでも目が休まるようにという願いからです。

装丁は、声の大きさの設計でもあります。棚のなかで一冊だけ叫んでいる本は、隣の本を黙らせてしまう。私たちは、静かな声で、けれど確かに届く装丁を心がけています。

装丁担当より

LETTER 03A LETTER TO READERS

読者のみなさまへ

編集長 真砂 あきら2026年 新年に

毎年、編集部にはたくさんのお便りが届きます。感想、間違いのご指摘、続きを待つ声。「この本を、亡くなった母の棚に並べました」——そんな一行に、私たちは何度も励まされてきました。

本は、書き手と読み手のあいだにだけ生まれるものではありません。読んだあなたが、その本を誰かに手渡したとき、物語はもう一度はじまります。私たちがつくっているのは、その受け渡しのための、少し丈夫な器なのだと思います。

今年も、急がず、確かな本を編みます。棚の片隅に、私たちの本を置いてくださっているすべての方へ。灯台の光が海をわたるように、この一冊が、あなたの夜の傍らに届きますように。

灯台出版 編集長

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読んでくださった一冊の感想も、原稿のご提案も。編集部はいつでも、みなさまからのお手紙を心待ちにしています。