LETTER 01 — ON MAKING BOOKS
急がない、という技術
本づくりで私たちがいちばん時間をかけているのは、実は「待つ」ことかもしれません。原稿を寝かせ、著者の逡巡を待ち、季節がひとめぐりするのを待つ。刊行を一年遅らせた本が、遅らせたぶんだけ良くなった経験を、私たちは何度もしてきました。
話題になる本と、長く読まれる本は、しばしば別のものです。前者は速さを、後者は確かさを必要とします。灯台出版は、どちらかといえば後者の側に立ちたい。刷り部数は控えめでも、十年後に版を重ねている——そんな本を目指しています。
急がないことは、怠けることではありません。むしろ、締切のなかで最後まで諦めないための、いちばん難しい技術だと思うのです。
灯台出版 編集部一同