CRAFT
一滴に至る手仕事
水を選び、米を育て、麹を起こし、醪を待つ。 機械に任せきりにしない少量仕込みだからこそ、 そのときどきの米と気温に、手で応えることができます。
The materials
土地が育てる、水と米

香月川の伏流水
蔵の地下からくみ上げる伏流水は、やわらかな中硬水。発酵をおだやかに進め、口当たりに丸みを与えます。酒の八割は水 ― 初代がこの土地を選んだ理由が、今も味の芯を通しています。

契約栽培の酒米
地元の農家とともに山田錦を契約栽培。田んぼの水も蔵と同じ水系です。心白の大きな酒米を、雑味のもとになる外側を削って磨き上げ、澄んだ酒質へ導きます。
Five steps
酒ができるまで
- 壱
洗米・浸漬
せんまい・しんせき磨いた米を秒単位で洗い、水を含ませます。米が吸う水の量は、その日の気温と米の硬さで刻々と変わる。蔵人がストップウォッチを手に、水の重さを量りながら見極めます。
- 弐
蒸し
むし大きな甑(こしき)で米を蒸す。外は硬く、中はやわらかい「外硬内軟」に仕上げるのが理想。立ちのぼる湯気の色と匂いで、その日の蒸し上がりを判じます。
- 参
製麹
せいきく蒸した米に麹菌を振り、麹室(こうじむろ)で二昼夜。三時間おきに手を入れ、温度と水分を整える。麹は酒の設計図。眠らずに寄り添う、蔵でもっとも神経を使う工程です。
- 肆
酒母・仕込み
しゅぼ・しこみ麹・蒸米・水と酵母から酒母を育て、三段に分けて仕込む。タンクの中では酵母が糖を食べて醪となり、静かに発酵が進みます。毎朝の櫂入れと分析が欠かせません。
- 伍
上槽・火入れ
じょうそう・ひいれ熟した醪を搾って酒と酒粕に分け、澄んだ生酒を得る。多くはここで低温火入れをして味を落ち着かせ、蔵の中でひと夏を越えさせてから出荷します。

「同じ造りは、二度とない。
その年の米に、手で合わせにいく。」
麹室の温度を測るのも、醪の泡の立ち方を見るのも、最後は人の手と目です。 数値は判断を助けてくれますが、決めるのは蔵人の指先の記憶。 四代にわたって受け継いだその感覚を、次の代へ手渡していくことが、 私たちの仕事のもう一つの柱です。
Toji · Master brewer

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