「味噌はお店で買うもの」——そう思っていた方こそ、一度仕込んでみてほしいと思います。大豆を煮て、麹と塩を合わせ、あとは待つだけ。手を動かすのは半日ほどで、残りの数か月は台所の片隅がゆっくり働いてくれます。
そろえる材料は、たった三つ
手前味噌の基本の材料は、大豆・米麹・塩の三つだけです。分量の目安は、乾燥大豆1kgに対して米麹1kg、塩450g前後。麹の量が多いほど甘く、少ないほど塩気の立った味に仕上がるといわれています。はじめての一樽は、この「麹と大豆が同量」の配合が扱いやすく、失敗も少なめです。
- 乾燥大豆 1kg(前夜からたっぷりの水に浸けておく)
- 米麹 1kg(生麹でも乾燥麹でもかまいません)
- 塩 450g(うち少量を仕上げの「ふた塩」に取り分けておく)
- 保存容器(4〜5L・ホーローや甕、清潔な漬物容器でも)

仕込みの一日の流れ
浸水させた大豆は、指で軽くつぶれるくらいまでやわらかく煮ます。圧力鍋なら20分ほど、普通の鍋ならコトコトと3〜4時間。ここだけは時間をかけたい工程です。
- 1
1. 大豆をつぶす
熱いうちにマッシャーや厚手の袋で、粒が半分残るくらいまでつぶします。なめらかにしすぎず、少し食感を残すのが家庭味噌の楽しみです。
- 2
2. 麹と塩を合わせる
別のボウルで米麹と塩をよく混ぜ、「塩切り麹」をつくります。手でこすり合わせるように混ぜると、麹がほろりとほぐれます。
- 3
3. すべてを混ぜる
つぶした大豆が人肌まで冷めたら塩切り麹と合わせ、耳たぶくらいのかたさになるよう煮汁で調整します。全体が均一になるまで、しっかりと。
- 4
4. 容器に詰める
空気を抜くように味噌玉を握り、容器へ打ちつけるように詰めます。表面を平らにならし、ふた塩をふって、ラップで密閉します。
仕込みの日の台所は、大豆の甘い湯気でいっぱいになります。その匂いを覚えておくと、来年の自分の目印になります。
待つ時間を、たのしむ
詰め終えたら、直射日光の当たらない涼しい場所へ。仕込みから食べごろまでは、気温にもよりますがおよそ半年から10か月が目安といわれています。夏をひとつ越えると、色は深く、香りはまろやかに変わっていきます。
途中で表面に白い膜が出ることがありますが、多くは産膜酵母で、その部分だけ取り除けば中は問題なく使えることがほとんどです。心配なときは無理をせず、香りと様子を見て判断してください。
「わが家の味」は、毎年ちがう
同じ配合でも、その年の気温や麹によって味は少しずつ変わります。だからこそ、去年より甘いね、今年は塩がきいてるね、と食卓で話題になる。手前味噌の一番のごちそうは、その「ちがい」を家族で味わう時間なのかもしれません。
ABOUT THE WRITER
編集部 K
くらしと発酵編集部のメンバー。自分たちの台所で試したことを中心に、発酵と暮らしの記事を書いています。掲載内容はすべて架空のデモです。


